めっきに関して
2013/09/11
ニッケルめっきは、1830年代に開発された古いめっきであり、
我が国でも1892年(明治35年)最初に行われたと言われて
いる。
初期には、無光沢めっきが行われており、研磨して装飾的な
用途としていた。1950年代に光沢ニッケルめっきが行われる
ようになって、飛躍的に使用量が増えた。
現在は、各種の下地めっきとして、装飾的な用途にも、電子
部品などの機能的な用途にも多く用いられている主要なめっき
である。多く用いられているために、不良発送も多い。そこで、
ニッケルめっきの不良原因とその対策について考えたい。
① 設備装置による不良
電源不良、撹拌不足、ラック接触不足、装置の不備、
槽ライニングの不良
② 浴組成の変化による不良
ホウ酸の不足、光沢剤の過剰および不足、ピット防止剤の
不足
③ 作業条件による不良
pH管理不足、陽極不適正、温度管理、バイポーラ現象
④ 有機不純物の持ち込み
脱脂浴の界面活性剤の持ち込み、油脂の持ち込み、
光沢剤の分解生成物の蓄積
⑤ 金属不純物の持ち込み
素材の鉄分の蓄積、アノードバー、カソードバーの溶解、
製品落下による蓄積
⑥ 電着物の性質の不良
光沢剤の過剰、応力減少剤の不足、光沢剤の分解生成物の
蓄積
⑦ 耐食性の低下
光沢剤の硫黄成分の過剰、ジュールニッケルに硫黄分の
持ち込み
このように多くの要因でニッケルめっきの不良発生する。
【浴成分の働きと光沢不良】
ニッケルめっき浴は金属イオンの供給源、陽極溶解剤、
pH緩衝剤、添加剤で構成されている。金属イオンの供給源
としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル
などで出来るだけ溶解度の高いニッケル塩が選択されている。
ニッケルめっき浴中に硝酸根が入ると陰極で還元されるため、
析出皮膜に悪影響を与える。
したがって、金属イオンの供給源には硝酸イオンが含まれない
ことが大切である。
陽極溶解剤は、塩化物イオンが適しており、塩化ニッケルが多く
用いられている。塩化ニッケルは溶解度も大きく、拡散常数も
硫酸ニッケルに比べて2倍ほど大きいが、引張引力を増加させる。
そのため、あまり多く用いることが出来ない。ニッケルめっきはpH
の管理が重要であり、pHが低いと電流効率が低く、ピットが出や
すくなる。pHが高いと水酸化物が生じ、高い電流密度域で焦げ
やすくなる。そこでpHの緩衝性をよくするために、ホウ酸が用い
られている。
ホウ酸以外は、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケルなどが用いられる。
添加剤としては、光沢剤、レベリング剤、応力減少剤、ピット
防止剤などが用いられている。
光沢ニッケルめっき浴は第1種光沢剤と呼ばれる
=C—SO₂—の構造を持つスルフォンイミド(例えば、サッカリン)、
スルフォン酸(例えば、ナフタリンスルホン酸ナトリウム)などの
有機化合物と第2種光沢剤としては、プチンジオールのような
レベラーが用いられている。
一般にレベラーはめっき皮膜の応力を増大させるので、応力
減少剤として、硫黄化合物を含む第1種光沢剤と併用されている。
ピット防止剤としてはラウリル硫酸ナトリウムのような界面活性剤
が用いられる。
【参考文献 めっきのトラブルシューティング 日刊工業新聞社】